消化器内科の診療

消化器内科画像

私たちの体は、食物を口から摂り入れ、体内で消化・吸収し、不要なものを便として肛門から排泄するという一連の働きを、1本の長い「消化管」の中で行っています。 消化管には、食道、胃、十二指腸、小腸、大腸といった臓器があり、さらに消化を助ける臓器として、膵臓・胆のう・肝臓なども重要な役割を担っています。

消化器内科では、これらの臓器に生じるさまざまな異常や症状、病気について診察を行い、必要に応じて検査や治療を行います。
胃の痛みや腹痛、吐き気・嘔吐、下痢や便秘などの便通異常といった症状のほか、健康診断で便潜血陽性や肝機能異常を指摘された場合などにも対応しています。

診察の結果、詳しい検査が必要と判断した場合には、血液検査(炎症の程度や肝機能などを確認)、腹部超音波検査(腹部エコー)、胃カメラ(上部消化管内視鏡)、大腸カメラ(大腸内視鏡)などを行い、消化器の状態を総合的に評価したうえで診断へとつなげます。

当院では、内視鏡検査の際に鎮静剤を使用し、うとうととリラックスした状態で検査を受けていただくことも可能です。
また、大腸ポリープの中には、将来的に大腸がんの原因となるものがあります。大腸カメラで大腸ポリープが見つかった場合には、その場で日帰りポリープ切除に対応することも可能です。

なお、入院やより専門的な治療が必要と判断した場合には、当院と連携している総合病院などの医療機関をご紹介し、適切な医療につなげています。 早期発見・早期治療のためにも、気になる症状がある場合や健診で異常を指摘された場合は、お気軽にご相談ください。

●以下の症状がある方は、一度消化器内科を受診ください

  • 腹痛や腹部に違和感がある
  • 胃もたれが続いている
  • 吐き気や嘔吐がある
  • 食欲不振が続いている
  • 便が細くなった
  • 便通異常(下痢、便秘)が続いている
  • 便潜血検査で陽性と判定された
  • 胸やけがみられる、酸っぱいものが込み上げる
  • 喉のつかえ感や飲み込みにくさがある
  • 体重が急激に減少している
  • 黄疸(白目や皮膚が黄色っぽくなる)がみられる
  • 尿の色が濃い
など

●消化器内科で取り扱う主な疾患

逆流性食道炎、胃炎、胃・十二指腸潰瘍、ピロリ菌感染症、過敏性腸症候群(IBS)、腸炎、感染性胃腸炎、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)、大腸ポリープ、大腸憩室症、脂肪肝、肝炎、肝機能障害、胆石症、胆のう炎、膵炎、食道がん、胃がん、大腸がん、胆のうがん、膵がん など

腹痛・お腹の違和感

胃炎

胃粘膜に炎症がみられている状態を胃炎といいます。胃炎は大きく急性胃炎と慢性胃炎に分かれます。
急性胃炎は、胃粘膜に急激な炎症が起きている状態です。原因としては暴飲暴食、ストレス、喫煙、薬剤(NSAIDs、ステロイド薬 等)の影響、アルコールなどが挙げられます。
主な症状は、腹痛や胃の膨満感、吐き気・嘔吐などがみられ、場合によっては吐血や下血を伴うこともあります。
一方の慢性胃炎は、胃粘膜の炎症が長期間続いている状態です。胃もたれや胃の不快感、食前・食後の腹痛、食欲不振、吐き気などの症状がみられることがあります。 原因として最も多いのはピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)の感染ですが、ストレスや薬剤などが関与する場合もあります。
診断には、胃カメラ(上部消化管内視鏡)を行い、胃粘膜の状態やで出血の有無などを確認します。

治療について

症状が軽い場合は、胃を休めることで改善することもあります。症状が続く場合には、胃酸の分泌を抑える薬(プロトンポンプ阻害薬やH2受容体拮抗薬など)による治療を行います。
また、ピロリ菌感染が確認された場合には、除菌治療を行います。

胃潰瘍

胃粘膜が胃酸によって傷つき、粘膜の一部が深くただれてしまう状態を胃潰瘍といいます。
本来、胃粘膜は強いバリア機能によって胃酸から守られています。しかし、この防御機能が低下すると、胃酸の影響で粘膜が傷つき、潰瘍が生じることがあります、

原因として最も多いのは、ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)の感染によるものです。そのほか、喫煙、ストレス、薬剤(NSAIDs など)の使用によって発症することもあります。

主な症状として、みぞおちの痛み、吐き気、吐血、黒色便などがみられます。潰瘍が深くなると出血を起こすことがあり、さらに進行すると胃壁に穴が開く胃穿孔を引き起こすこともあります。

診断には胃カメラ(上部消化管内視鏡)を行い、胃粘膜の状態や潰瘍の有無を確認します。また、必要に応じてピロリ菌感染の有無についても検査を行います。

治療について

胃酸の分泌を抑える薬(H2受容体拮抗薬やプロトンポンプ阻害薬など)による薬物療法を行います。
また、ピロリ菌感染が確認された場合には、除菌治療を行います。
NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)などの薬剤が原因と考えられる場合には、医師の判断のもとで薬剤の中止や変更を検討します。潰瘍からの出血がみられる場合には、胃カメラによる止血治療を行うことがあります。
さらに病状が進行し、胃壁に穴が開く胃穿孔を起こした場合には、手術が必要となることもあります。

十二指腸潰瘍

十二指腸の粘膜が胃酸によって傷つき、粘膜がただれたり深くえぐれたりした状態を十二指腸潰瘍と言います。
十二指腸には胃から胃酸を含んだ内容物が流れてきますが、通常は粘液や重炭酸などの働きによって粘膜が守られています。
しかし、この防御機能が低下したり、ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)感染などの影響で胃酸の分泌が増えたりすると、遺産によって粘膜が傷つき、潰瘍が生じることがあります。
原因として最も多いのはピロリ菌感染ですが、そのほかにも、喫煙、ストレス、薬剤(NSAIDsなど)の使用が関与する場合があります。
主な症状として、みぞおち付近の痛み、胸やけ、腹部膨満感などがみられます。十二指腸潰瘍では、空腹時に痛みが強くなることが多いのが特徴です。
潰瘍から出血すると下血がみられ、出血量が多い場合には貧血を引き起こすことがあります。さらに進行すると十二指腸に穴が開く十二指腸穿孔を起こすこともあります。

診断には、胃カメラ(上部消化管内視鏡)を行い、十二指腸粘膜の状態を確認します。また、必要に応じてピロリ菌感染の有無についても検査を行います。

治療について

胃酸の分泌を抑える薬(プロトンポンプ阻害薬やH2受容体拮抗薬など)による薬物療法を行います。
ピロリ菌感染が確認された場合には、除菌治療も行います。
潰瘍から出血している場合には、胃カメラによる止血治療を行うことがあります。
また、十二指腸穿孔を起こした場合には、手術が必要となることがあります。

腹部全体の痛み・張り

腸炎

小腸や大腸に炎症が起こり、様々な症状が現れる状態を腸炎といいます。
腸炎は大きく感染性腸炎と非感染性腸炎に分けられます。

感染性腸炎は、細菌(カンピロバクター、サルモネラ菌など)やウイルス(ノロウイルスなど)といった病原体に感染することで発症します。感染経路としては、人から人への感染のほか、汚染された水や食品を口にすることで感染する場合もあります。
一方、非感染性腸炎には、暴飲暴食、身体の冷え、刺激の強い食べ物(唐辛子や香辛料など)によるもののほか、動脈硬化による血流障害で起こる虚血性腸炎や、自己免疫反応が関与する炎症性腸疾患(IBD:潰瘍性大腸炎、クローン病)などが含まれます。

主な症状として、腹痛、腹部膨満感、吐き気・嘔吐、下痢、発熱、食欲不振などがみられます。

診断には、便培養検査(便中の細菌やウイルス等の有無を調べる検査)、血液検査(炎症の程度や腎機能などを確認する検査)、大腸カメラ(下部消化管内視鏡)などを行い、炎症の原因を総合的に判断します。

治療について

感染性腸炎の場合、細菌が原因あれば抗菌薬を使用することがあります。ウイルスが原因の場合は、解熱剤や整腸剤などによる対症療法が中心となります。
また、下痢や嘔吐による脱水を防ぐため、経口補水液などでこまめに水分補給を行うことが大切です。症状によっては、院内で点滴治療を行うこともあります。

なお、虚血性腸炎や炎症生腸疾患などの原因となる病気がある場合には、それぞれの疾患に応じた治療を行います。

過敏性腸症候群(IBS)

腹痛や便通異常(便秘、下痢 等)が続くものの、検査を行っても異常が見つからない状態を過敏性腸症候群(IBS)といいます。
主な症状として、腹痛や腹部のはり、下痢、便秘などがみられます。排便によって腹痛がやわらぐことがあるのも特徴の一つです。

IBSは、中高生や働き盛りの20~40代に多くみられます。ストレス、過労、不安、緊張などが自律神経に影響し、腸の運動が乱れや腸の感覚過敏が起こることで症状が現れると考えられています。
また、男性は下痢型、女性では便秘型の症状が多い傾向があります。

診断にあたっては、炎症性腸疾患、大腸がん、大腸ポリープ、大腸憩室など、似た症状を引き起こす他の消化器疾患がないことを確認することが重要です。そのため、血液検査や便検査のほか、必要に応じて腹部X線撮影、腹部CT、大腸カメラ(大腸内視鏡)などを行うことがあります。

治療について

まず、生活習慣や食生活の見直しが重要になります。高脂肪食を控え、食物繊維を多く含む食品を取り入れるなど食事内容を整えることや、十分な睡眠、規則正しい食事、適度な運動などを心がけることが大切です。
症状に応じて薬物療法を行うこともあります。便秘型では下剤や緩下剤、下痢型では止瀉薬などを使用します。

便秘

排便回数が週に3回未満、または毎日排便があっても残便感がある、強くいきまないと出ない、硬い便が出るなど、排便が困難な状態を便秘といいます。

原因は人によってさまざまで、食事生活や運動不足などの生活習慣、ストレスが影響することあります。また、加齢による筋力の低下や薬剤の副作用が原因となる場合もあります。さらに、糖尿病、甲状腺機能低下症(橋本病など)、大腸がん、大腸ポリープ、過敏性腸症候群、椎間板ヘルニアなどの病気によって便秘が起こることもあります。

便が出にくい以外にも、腹部の張り、おならが増える、腹痛、胃もたれ、食欲不振などの症状がみられることがあります。
原因となる病気の有無を調べるために、血液検査(炎症の程度や貧血の有無などを確認)、便潜血検査のほか、必要に応じて腹部X線撮影、腹部超音波検査、大腸カメラ(大腸内視鏡)などを行います。

治療について

直腸に便が溜まっている場合には、浣腸や下剤を使用して排便を促します。また、便を軟らかくする薬(酸化マグネシウムなど)や整腸剤を用いることもあります。

便秘の改善には生活習慣の見直しも大切です。十分な水分をとること、食物繊維を多く含む食品(野菜、海藻類、きのこ、豆類など)を取り入れることが勧められます。
さらに、ウォーキングなどの適度な運動を行うこと、便意を我慢しないこと、朝食後にトイレへ行く習慣をつけることも便秘の予防や改善につながります。

右下腹部の痛み

虫垂炎

大腸の始まりにあたる盲腸から細長く突き出た「虫垂」に炎症が起こる病気を虫垂炎(急性虫垂炎)といいます。一般的には「盲腸」と呼ばれることもあります。
原因としては、細菌感染やウイルス感染なとによって虫垂の内部が詰まり、炎症が起こることが多いとされています。また、腸の粘膜のむくみやリンパ組織の腫れなどによって虫垂が閉塞すると、感染が起こりやすくなると考えられています。
主な症状として、右下腹部の痛みや発熱、吐き気・嘔吐などがみられます。症状が進行すると炎症が強くなり、虫垂に穴が開く穿孔を起こすことがあります。穿孔すると腹腔内に最近が広がり、腹部全体の強い痛みや腹膜炎を引き起こすこともあります。

まれに、腹痛が続いたり軽快したりを繰り返す慢性虫垂炎と呼ばれる状態がみられることもあります。原因のはっきりしない右下腹部痛が続く場合は、一度受診することをおすすめします。

診断には、血液検査で炎症の程度を確認するほか、腹部超音波検査や腹部CTなどの画像検査を行い、虫垂炎の腫れや炎症の範囲を調べます。

治療について

炎症の程度が軽度であれば、抗菌薬による治療で改善することがあります。
しかし多くの場合は、炎症の再発や悪化を防ぐため、手術によって虫垂を切除する治療が行われます。手術が必要と判断した場合には、連携する医療機関へご紹介いたします。

憩室炎

消化管の壁の一部が外側へ膨らんだくぼみを憩室といい、この部分に炎症が起こる状態を憩室炎といいます。

憩室は加齢とともに増える傾向があり、食道、胃、小腸、大腸などの消化管のさまざまな部分に生じる可能性がありますが、最も多くみられるのは大腸です。便秘などによって腸内の圧力が高くなると憩室ができやすくなり、複数発生することもあります。
憩室の中に便が入り込むことで細菌感染が起こり、炎症が生じると憩室炎を発症します。

主な症状として、腹痛(特に下腹部痛)がみられます。そのほか、下痢や便秘が現れることもあります。
症状が悪化すると発熱や血便が見られることがあり、憩室に穴が開く穿孔を起こすと腹膜炎になることがあります。また、炎症による癒着によって腸閉塞を引き起こすこともあります。

診断には腹部CTや腹部超音波検査などの画像検査を行い、憩室炎の部位や炎症の程度を確認します。また、虫垂炎や大腸がんなど、似た症状を示す病気との鑑別も行います。

治療について

治療は症状の程度によって異なります。
軽症の場合には、消化の良い食事にして腸を休ませるとともに、抗菌薬による治療を行います。
発熱や強い腹痛など症状が強い場合には、入院して絶食のうえ抗菌薬の点滴治療を行うことがあります。
また、憩室に穿孔がある場合や、炎症によって腸が狭窄・閉塞している場合には、手術が必要になることもあります。

みぞおち~右脇腹、背中

胆石症

胆のうや胆管の中に「胆石」とよばれる石ができる病気を胆石症といいます。胆石は、胆汁の成分が固まってできることが多いとされています。
胆石症は、脂質異常症(コレステロール値が高い方)、肥満の方、女性、高齢の方などに起こりやすい傾向があります。

胆石があっても自覚症状が出ない場合もあります。しかし、胆石が胆のうの出口や胆管に詰まると、みぞおちから右上腹部にかけての痛みや、吐き気・嘔吐、発熱、黄疸などの症状が現れることがあります。

胆石の有無を調べるには腹部超音波検査(腹部エコー)が有効です。また、炎症の有無や程度を確認するために血液検査を行うこともあります。健康診断の腹部超音波検査で偶然胆石が見つかることも少なくありません。

治療について

胆石が見つかっても症状がない場合は、経過観察となることがあります。
痛みなどの症状がある場合には、痛み止めなどの薬を用いて症状を和らげながら経過をみます。
胆石による発作を繰り返す場合や、胆のう炎や胆管炎を起こしている場合、胆石が大きい場合などには、胆のう摘出手術が検討されます。
胆石による症状が強い場合や手術が必要と判断した場合には、連携する医療機関をご紹介いたします。

胆嚢炎

胆嚢(胆のう)に炎症が起こる病気を胆嚢炎といいます。
原因の多くは胆石症で、胆石が胆のうの出口に詰まり胆汁の流れが悪くなることで炎症が起こります。
そのほかにも、大きな手術後や敗血症の状態、長期間食事がとれずに点滴のみで栄養を補給している場合などに発症することもあります。

主な症状として、みぞおちから右上腹部にかけての痛み、発熱、吐き気・嘔吐、食欲不振などがみられます。深呼吸をしたときに痛みが強くなることもあります。

診断には、血液検査で炎症の程度を確認するほか、腹部超音波検査(腹部エコー)や腹部CTなどの画像検査を行い、胆石の有無や胆のうの炎症の程度を調べます。

治療について

炎症の程度によって治療内容は異なります。軽度から中等度の場合は、絶食と点滴によって水分や栄養を補給しながら、抗菌薬をし使用して炎症の改善を図ります。
胆嚢炎は再発することも多いため、症状が落ち着いた後に胆のうの摘出手術あ検討されることがあります。
炎症が強い場合や胆のう内に膿がたまっている場合、全身状態が不良な場合には、胆のうにチューブを留置して胆汁や膿を排出する胆のうドレナージを行うことがあります。手術が必要と判断した場合には、連携する医療機関へご紹介いたします。

膵炎

膵臓に炎症が起こる病気を膵炎といいます。
膵臓は、食べ物の消化を助ける膵液(消化酵素)を分泌するほか、血糖値を下げる働きを持つインスリンなどのホルモンを分泌する重要な臓器です。
何らかの原因で膵液(消化酵素)が膵臓の内部で活性化すると、膵臓自身や周囲の臓器が傷つき、炎症が起こります。

膵炎は大きく急性膵炎と慢性膵炎に分けられます。
急性膵炎は、突然強い炎症が起こる病気です。慢性膵炎は、炎症が長期間続くことで膵臓の機能が低下していく状態をいいます。
原因としては、胆石、アルコールの影響、脂質異常症などが挙げられます。胆石が胆管に詰まると膵液の流れが妨げられ、膵臓に炎症が起こることがあります。また、原因が特定できない場合もあります。

主な症状として、みぞおちからへその周囲にかけての強い腹痛、吐き気・嘔吐、背中の痛み、食欲不振などがみられます。慢性膵炎では、上腹部から背中にかけての痛みが長期間続くことがあります。
また、膵臓の機能が低下すると消化酵素の分泌が減少し、消化吸収不良による下痢や体重減少がみられることもあります。
膵炎は重症化すると全身状態が悪化することもあるため、強い腹痛が続く場合は早めの受診が重要です。

診断には、血液検査で膵酵素などの値を調べるほか、腹部超音波検査(腹部エコー)や腹部CTなどの画像検査を行い、膵臓の炎症の有無や程度、原因などを確認します。

治療について

急性膵炎の場合は入院治療が必要になることが多く、絶食のうえ点滴によって十分な水分や栄養を補給します。感染を伴う場合には抗菌薬を使用することがあります。
慢性膵炎では、病状に応じて入院または通院で治療を行います。治療では、禁酒や脂肪食の制限など生活習慣の改善が重要になります。また、痛みがある場合には鎮痛薬を使用し、消化酵素が不足している場合には消化酵素補充療法を行います。糖尿病を合併している場合にはその治療も必要になります。

吐き気・嘔吐

感染性胃腸炎(胃腸炎)

胃と腸に炎症が起こり、下痢や嘔吐、腹痛などの症状が現れる病気を胃腸炎といいます。胃腸炎は大きく感染性胃腸炎と非感染性胃腸炎に分けられます。
感染性胃腸炎は、細菌やウイルスなどの病原体に感染することで発症します。
細菌ではサルモネラ菌、カンピロバクター、病原性大腸菌などが知られており、ウイルスでは、ノロウイルス、ロタウイルス、アデノウイルスなどが代表的です。これらは汚染された食品や水、あるいは人から人への接触などによって感染することがあります。
一方、感染以外が原因となる胃腸炎もあります。薬剤の影響、ストレス、暴飲暴食、刺激の強い食べ物(香辛料や脂肪分が多い食事など)によって胃腸の炎症が起こることがあります。

主な症状は、下痢、吐き気・嘔吐、腹痛、発熱、食欲不振などがみられます。下痢や嘔吐が続くと脱水症状を起こすこともあるため注意が必要です。

診断は症状や経過を元に行います。必要に応じて便検査などを行い、原因となる最近の有無を調べることもあります。

治療について

胃腸炎の治療は、症状に応じた対症療法が基本となります。
下痢や嘔吐がある場合には脱水を防ぐことが重要であり、経口補水液などでこまめに水分を補給します。
吐き気が強い場合には胃腸を休めるため、一時的に食事を控えることもあります。
感染性胃腸炎では、吐き気や下痢の症状は1~2日ほどでピークを迎え、その後徐々に改善していくことが多いです。ウイルス性胃腸炎には特効薬はなく、整腸剤や吐き気止めなどを用いた対症療法が中心となります。細菌性胃腸炎の場合でも、すべてのケースで抗菌薬を使用するわけではありません。症状や原因菌などを考慮し、必要と判断した場合にのみ抗菌薬を使用します。
症状が強い場合や脱水が見られる場合には、点滴による水分補給を行うこともあります。

胸やけ・胃もたれ

胃食道逆流症(逆流性食道炎)

胃の内容物(胃酸を含む胃液など)が食道へ逆流することで、胸やけなどの症状や食道粘膜の炎症を引き起こす病気を胃食道逆流症(GERD)といいます。
本来、食道と胃の境目には下部食道括約筋という筋肉があり、胃の内容物が食道へ逆流しないように働いています。しかし、この筋肉の働きが弱くなると胃酸が食道へ逆流しやすくなり、食道粘膜に炎症が起こったり、さまざまな症状が現れたりします。胃食道逆流症は、胃酸の逆流によって症状が生じる病気の総称であり、そのうち胃カメラ(内視鏡)検査で食道粘膜にびらんやただれが確認される状態を逆流性食道炎といいます。
一方で、症状があっても内視鏡で炎症が確認されないタイプは非びらん性胃食道逆流症(NERD)と呼ばれます。
発症の原因としては、高脂肪食のとり過ぎや食べ過ぎ、肥満、飲酒、カフェインの過剰摂取、喫煙、ストレス、薬剤(降圧薬など)の影響などが挙げられます。また、加齢や食後すぐ横になる習慣なども胃酸の逆流を起こしやすくする要因になります。主な症状としては、胸やけや呑酸(酸っぱいものが込み上げる感じ)がよくみられます。そのほかにも、のどの違和感、咳、声のかすれ、胸の痛み、飲み込みにくさなどが現れることがあります。症状は食後や横になったときに強くなることがあります。
診断は問診による症状の確認に加え、必要に応じて胃カメラ(上部消化管内視鏡)による検査を行い、食道粘膜の炎症やびらんの有無を確認します。

治療について

治療では、胃酸の分泌を抑える薬を用いた薬物療法が中心となります。主にプロトンポンプ阻害薬(PPI)やH2受容体拮抗薬などが使用されます。
また、症状の改善には生活習慣の見直しも重要です。食べ過ぎや高脂肪食を控えること、食後すぐ横にならないこと、体重管理を行うこと、禁煙や節酒を心がけることなどが勧められます。
薬物療法でも症状が改善しない場合や重症の逆流性食道炎がみられる場合には、専門医療機関で追加の治療が検討されることがあります。

下痢

感染性胃腸炎

【吐き気・嘔吐】

過敏性腸症候群

【腹部全体の痛み・張り】

炎症性腸疾患

腸に慢性的な炎症が起こる病気を総称して炎症性腸疾患(Inflammatory Bowel Disease:IBD)といいます。代表的な疾患として潰瘍性大腸炎とクローン病があります。
これらの病気は、免疫の異常や遺伝的要因、腸内細菌などが関与していると考えられていますが、はっきりとした原因は現在のところ解明されていません。炎症が強くなる「活動期」と炎症が落ち着く「寛解期」を繰り返すことが特徴です。

潰瘍性大腸炎は大腸の粘膜に慢性的な炎症が起こる病気で、炎症は多くの場合直腸から始まり、連続的に大腸へ広がっていきます。主な症状としては、下痢や血便、腹痛などがみられます。潰瘍性大腸炎では、長期間炎症が続くことで大腸がんの発生リスクが高くなることが知られており、定期的な大腸内視鏡検査による経過観察が重要になります。
クローン病は若い世代に発症することが多く、口から肛門まで消化管のどの部位にも炎症が起こる可能性がありますが、小腸や大腸に発症することが多いとされています。主な症状としては、腹痛や下痢のほか、発熱、体重減少、貧血などがみられます。

診断を行うためには、大腸カメラ(大腸内視鏡)によって腸の粘膜の状態を直接観察し、炎症の広がりや特徴的な所見を確認します。また、血液検査で炎症の程度や貧血の有無を調べるほか、便検査などを行うこともあります。

治療について

炎症性腸疾患は、現在のところ完全に治す治療法は確立されていませんが、薬物療法などによって炎症を抑え、症状をコントロールしていくことが可能です。
潰瘍性大腸炎では、炎症を抑える5-ASA製剤を基本とした治療が行われます。病状に応じて、ステロイド薬、免疫調節薬、生物学的製剤、カルシニューリン阻害薬、インテグリン阻害薬、JAK(ヤヌスキナーゼ)阻害薬などが用いられることもあります。

クローン病では、薬物療法に加えて栄養療法が重要となることがあります。5-ASA製剤、免疫調節薬、生物学的製剤などを用いて炎症のコントロールを行います。炎症が長く続くことで腸の狭窄や腸閉塞などの合併症を起こすことがあり、その場合には手術が必要となることもあります。
潰瘍性大腸炎やクローン病はいずれも長期的な管理が必要となる病気です。病状の評価や合併症の早期発見のため、定期的な大腸内視鏡検査などによる経過観察が重要となります。患者様の状態に応じて、専門医療機関と連携しながら治療や経過観察を行っていきます。

また、症状が落ち着いている場合でも炎症が続いていることがあるため、自己判断で治療を中断せず、継続的な診療を受けることが大切です。
なお、潰瘍性大腸炎とクローン病はいずれも国の指定難病に指定されており、条件を満たす場合には医療費助成制度を利用することができます。

便秘

便秘症

本来体外へ排泄されるはずの便が腸内にとどまり、排便回数の減少や排便困難、残便感などの症状が続き、日常生活に支障をきたしている状態を便秘症といいます。
便秘の症状がある方で、血便や黒色便、貧血、強い腹痛、嘔吐、発熱、体重減少などを伴う場合には、重大な病気が隠れている可能性もあるため、医療機関を受診することが大切です。

便秘の原因としては、生活習慣やストレスなどが関係する機能性便秘のほか、大腸がんや大腸ポリープ、腸閉塞など大腸の病気によって起こる器質性便秘、糖尿病や甲状腺機能低下症などの全身疾患による症候性便秘、薬剤の影響による薬剤性便秘などがあります。
このように便秘の原因はさまざまであり、なかには大腸がんなど重大な病気の症状として現れることもあるため、原因を適切に見極めることが重要です。便秘が長く続く場合や原因がはっきりしない場合には、大腸カメラ(大腸内視鏡)による検査で大腸の状態を確認することもあります。

診察では、問診や診察に加えて、必要に応じて血液検査(貧血や炎症の有無などの確認)、腹部超音波検査、腹部X線検査、大腸カメラなどを行い、便秘の原因を総合的に評価します。

治療について

原因となる病気が見つかった場合は、その治療を行います。機能性便秘と考えられる場合には、生活習慣の改善を基本とした治療を行います。水分を十分にとること、食物繊維を多く含む食品(野菜、海藻、きのこ、豆類など)を意識して摂取することが大切です。
また、ウォーキングなどの適度な運動を取り入れることや、便意を感じたときに我慢せず排便する習慣をつけることも重要です。
症状に応じて、便をやわらかくする薬や腸の動きを整える薬などの薬物療法を行うこともあります。

過敏性腸症候群

過敏性腸症候群

大腸がん

大腸の粘膜から発生する悪性腫瘍を大腸がんといい、発生する部位によって結腸がんと直腸がんに分けられます。
大腸がんの発症にはさまざまな要因が関係していると考えられており、食生活や生活習慣の影響が指摘されています。具体的には、肉類や脂肪の多い食事、肥満、運動不足、喫煙、飲酒などがリスク要因とされています。また、40歳以上の方や、大腸がんの家族歴がある方では発症リスクが高くなることが知られています。

大腸がんは早期の段階では自覚症状がほとんどないことが多い病気です。進行すると、血便、便秘や下痢などの便通異常、便が細くなる、残便感、腹部の張りなどの症状がみられることがあります。さらに進行すると、腸閉塞による腹痛や嘔吐などの症状が現れることもあります。

大腸がんの早期発見のために広く行われている検査が便潜血検査です。健康診断などで便潜血陽性を指摘された場合には、原因を調べるために大腸カメラ(大腸内視鏡検査)を行います。
大腸カメラでは大腸の粘膜を直接観察することができ、ポリープやがんの有無を確認することができます。必要に応じて組織を採取して詳しく調べることもあります。 がんが疑われる場合には、CT検査などの画像検査によって病変の広がりや転移の有無を評価します。血液検査で腫瘍マーカーを測定することもありますが、これは診断の補助として用いられます。

治療について

治療方法は、がんの進行度や広がりによって決定されます。
早期の大腸がんであれば、大腸カメラによって切除できる場合があります。
内視鏡治療の適応とならない場合や進行がんの場合には、外科手術による切除が基本となります。がんの進行状況によっては、手術に加えて化学療法(抗がん剤治療)が行われることもあります。

当院では大腸カメラによる検査を行い、大腸がんが疑われる場合には、専門医療機関と連携しながら適切な治療につなげていきます。

血便・黒色便

痔核

痔核は一般的に「いぼ痔」と呼ばれるもので、肛門周囲の静脈がうっ血して腫れ、いぼのようにふくらんだ状態をいいます。発生する部位によって、肛門の歯状線より内側にできるものを内痔核、外側にできるものを外痔核と呼びます。
痔核は、肛門周囲に負担がかかることで血流が滞り、静脈がうっ血することによって発症すると考えられています。便秘による強いいきみや、下痢を繰り返すことによる刺激のほか、長時間の座り仕事や立ち仕事、飲酒や刺激の強い食事なども発症のきっかけになることがあります。

主な症状として、内痔核では排便時の出血がみられることが多く、進行すると排便時に痔核が肛門の外へ脱出することがあります。初期には指で押すと戻りますが、さらに進行すると自然に戻らなくなることもあります。
一方、外痔核は歯状線の外側に発生するため神経が多く、腫れやしこり、痛みなどの症状が出やすいのが特徴です。

痔核の診断は、視診や触診などの診察によって行います。なお、肛門からの出血は痔だけでなく大腸がんなどの病気が原因となっている場合もあるため、症状や年齢、既往歴などによっては大腸カメラ(大腸内視鏡検査)による検査を行うこともあります。

治療について

炎症や腫れを抑える治療として、軟膏の塗布や注入、座薬などの薬物療法を行います。
また、排便時の負担を軽減するため、必要に応じて緩下剤(便をやわらかくする薬)を使用することもあります。

あわせて生活習慣の見直しも重要です。便秘を防ぐために食物繊維を多く含む食品を意識して摂取し、脂肪の多い食事は控えるようにします。また、排便時に強くいきまないことや、トイレに長時間座り続けないことなど、肛門に負担をかけない排便習慣を心がけることも大切です。

内痔核が進行し、排便時に脱出するようになった場合には、硬化療法(ALTA療法)や手術による治療が検討されます。ALTA療法は、痔核に薬剤を注射して縮小させる治療法です。症状の程度に応じて適切な治療方法を選択します。

大腸ポリープ

大腸の粘膜に発生し、いぼのように盛り上がったできものを大腸ポリープといいます。

発生の原因は完全には解明されていませんが、加齢、食生活(高脂肪・低食物繊維の食事)、家族歴などが関係していると考えられています。
大腸ポリープは大きく腫瘍性ポリープと非腫瘍性ポリープに分けられます。
腫瘍性ポリープの代表が腺腫(腺腫性ポリープ)で、良性腫瘍ではありますが、一部は時間の経過とともに遺伝子変異を重ねて大腸がんへ進行する可能性があります。一般的に、ポリープが大きくなるほどがん化のリスクは高くなるとされています。

一方、非腫瘍性ポリープには過形成性ポリープや炎症性ポリープなどがあり、これらは通常がん化する可能性は低いとされています。
大腸ポリープは多くの場合、自覚症状がほとんどありません。ポリープが大きくなると便に血が混じることがありますが、出血量は少ないことが多く、気づきにくいこともあります。また、まれに便が細くなる、便秘や下痢を繰り返す、腹部の張りや腹痛などの症状がみられることもあります。

大腸ポリープは、健康診断などで行われる便潜血検査をきっかけに見つかることが多く、便潜血陽性を指摘された場合には、原因を調べるために大腸カメラ(大腸内視鏡検査)を行います。
大腸カメラでは大腸の粘膜を直接観察することができ、ポリープの有無や大きさ、形などを確認することができます。

治療について

検査の結果、大腸ポリープが確認された場合には、ポリープの種類や大きさ、形などを総合的に判断して治療方針を決定します。腫瘍性ポリープ(腺腫)の場合は、良性であっても将来的にがんへ進行する可能性があるため、大腸カメラによる切除が行われます。ポリープが大きい場合や、がんが疑われる場合などには、専門医療機関にて外科手術による切除が必要となることもあります。

一方、過形成性ポリープなどの非腫瘍性ポリープは、がん化のリスクが低いため、状態に応じて経過観察となることがあります。ただし、ポリープの種類が内視鏡検査だけでは明確に区別できない場合には、診断と治療を兼ねて内視鏡で切除を行うこともあります。
当院では、大腸カメラ検査の際にポリープが見つかった場合、日帰りによるポリープ切除にも対応しています。ただし、ポリープの大きさや形状、出血リスクなどによっては、安全性を考慮して専門医療機関をご紹介することがあります。

大腸がん

大腸がん

腸炎

腸炎

逆流性食道炎

逆流性食道炎

黄疸(皮膚や目が黄色くなる)

肝炎

肝臓に炎症が起こっている状態を肝炎といいます。
肝臓は、体内で必要なタンパク質の合成、栄養の貯蔵、有害物質の解毒、胆汁の生成など、生命維持に重要な働きを担う臓器です。肝臓の炎症が長く続くと、肝細胞の損傷が進み、肝機能の低下を引き起こします。さらに線維化が進行すると、肝硬変や肝がんへ進行する可能性もあるため、早期に原因を確認し適切に対応することが大切です。

肝炎の主な原因としては、B型・C型などの肝炎ウイルスによるウイルス性肝炎のほか、アルコールの過剰摂取によるアルコール性肝障害、薬剤の影響によって起こる薬剤性肝障害などがあります。
また、肥満や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病が関係して発症する脂肪肝炎(MASLD/MASH)や、免疫異常によって起こる自己免疫性肝炎なども肝炎の原因となります。

肝炎は初期には自覚症状がほとんどないことも多く、健康診断の血液検査で肝機能異常を指摘されて発見されるケースも少なくありません。進行すると、疲れやすい、食欲不振、吐き気、発熱(急性肝炎)、黄疸、尿の色が濃くなるなどの症状がみられることがあります。

診断では、問診や診察に加えて血液検査を行い、肝機能(AST、ALT、γ-GTP など)の値やウイルス感染の有無を確認します。また、病状の程度を評価するために、腹部超音波検査(腹部エコー)やCTなどの画像検査を行うこともあります。

治療について

肝炎の治療は原因によって異なります。ウイルス性肝炎では、経過観察を行う場合のほか、抗ウイルス薬による治療が行われることがあります。アルコール性肝障害では禁酒が最も重要であり、生活習慣の改善が必要となります。
脂肪肝炎の場合には、体重管理や運動習慣の改善、糖尿病や脂質異常症など生活習慣病の治療が重要になります。
薬剤性肝炎・肝障害では原因となる薬剤の中止や変更を行い、自己免疫性肝炎では免疫抑制薬などによる治療が行われます。

胆石症

胆石症

胆管炎

胆管とは、肝臓で作られた消化液である胆汁を十二指腸へ運ぶ通り道です。この胆管に炎症が起こった状態を胆管炎といいます。胆管炎の多くは、胆石が胆管に詰まることで胆汁の流れが悪くなり、細菌感染を起こすことで発症します。そのほか、胆管の腫瘍や手術後の変化による胆管の狭窄、免疫異常などが原因となる場合もあります。
胆管炎は適切な治療が行われない場合、細菌が血液中に広がり敗血症に進行することもあるため、早期の診断と治療が重要です。
主な症状として、発熱、寒気(震えを伴う悪寒)、右上腹部の痛み、黄疸、倦怠感、食欲不振などがみられます。特に発熱・腹痛・黄疸の3つの症状がそろう場合は胆管炎が疑われるとされています。

診断では、血液検査で炎症反応や肝機能の異常を確認するとともに、腹部超音波検査やCTなどの画像検査を行い、胆管の拡張や胆石の有無などを確認します。

治療について

胆管炎が疑われる場合は、まず絶食と点滴による全身管理を行います。細菌感染が原因となることが多いため、抗菌薬による治療を開始します。
胆石などによって胆管が詰まっている場合には、内視鏡(ERCP:内視鏡的逆行性胆管膵管造影)を用いて胆管の詰まりを取り除いたり、胆汁の流れを改善する胆道ドレナージを行うことがあります。
病状や原因に応じて、専門医療機関と連携しながら適切な治療を行います。

肝臓がん

肝臓で発生した悪性腫瘍のことを(原発性)肝臓がんといいます。肝細胞から発生する肝細胞癌、胆管の細胞に発生する胆管細胞癌、小児の肝臓で発生しやすい肝芽腫などがあります。、また、他の臓器に生じた腫瘍が肝臓に転移する転移性肝がんもあります。
なお原発性肝臓がんの大半は肝細胞がんで、この場合は、ウイルス性肝炎(B型、C型)、非アルコール性脂肪肝炎、多量の飲酒、喫煙などによる、慢性的な炎症や肝硬変によって、肝細胞が傷つくなどしてがんを発生させることになります。

肝臓がんは発症初期から自覚症状が現れることは少ないとされています。
ある程度病状が進行すると、腹部(右上腹部 等)に痛み、お腹に張り、食欲不振、黄疸、体重減少などの症状が出現するようになります。

肝臓がんが疑われる際に行われる検査としては、血液検査(肝機能の状態、ウイルス感染、腫瘍マーカー等を調べる)をするほか、腫瘍の大きさや発生部位、がんの広がり等を確認するための画像検査(腹部超音波検査、CT、MRI)も行います。
このほか、診断を確定させるための検査として生検(がんが疑われる組織の一部を採取し、顕微鏡で詳細を確認する)をすることもあります。

治療について

治療内容は、がんがどこまで進行しているか、肝機能の状態、腫瘍の数や大きさ、転移の有無などによって異なります。

肝機能の状態が良ければ、手術療法(外科的治療)による切除となります。
なお、がん細胞が小さく、数が少ない場合は、ラジオ波焼灼術による局所療法が選択されることもあります。
手術によって、すべてのがんを取り除くのが困難という場合は、化学療法や血管内治療などが検討されます。

体重減少・食欲不振

消化管がん

口から肛門まで続く消化の通り道を消化管といいます。この消化管に発生する悪性腫瘍を総称して消化管がんと呼びます。主なものとして、食道がん、胃がん、小腸がん、大腸がん、肛門がんなどがあります。

消化管がんは、初期の段階では自覚症状がほとんどないことが多く、気づきにくい病気です。しかし、早期に発見して適切な治療を行えば、良好な経過が期待できる場合も多くあります。

発症にはさまざまな要因が関係していると考えられており、加齢のほか、塩分の多い食事、肥満、運動不足、喫煙、飲酒などの生活習慣がリスク因子とされています。また、ピロリ菌感染、炎症性腸疾患、大腸ポリープ、家族歴なども発症リスクに関係するといわれています。

主な症状として、血便や黒色便、下痢や便秘などの便通異常、腹痛や腹部の張り、体重減少、食欲不振、貧血、飲み込みにくさなどがみられることがあります。ただし、これらの症状は必ずしもがんによるものとは限らないため、気になる症状がある場合は医療機関での検査が大切です。

診断には、症状や年齢などを考慮して胃カメラ(上部消化管内視鏡)や大腸カメラ(大腸内視鏡)などの内視鏡検査を行います。必要に応じて血液検査、腹部超音波検査、CTなどの画像検査を行うこともあります。また、腫瘍が疑われる病変が見つかった場合には、組織を採取して顕微鏡で調べる生検検査を行い、診断を確定します。

治療について

がんの治療方法は、発生した部位や進行の程度によって異なります。早期のがんであれば、内視鏡(胃カメラや大腸カメラ)による切除で治療できる場合もあります。
進行がんの場合には、外科手術による切除が基本となります。病状によっては、抗がん薬による化学療法や放射線治療などが行われることもあります。
当院では内視鏡検査による早期発見に努め、がんが疑われる場合には専門医療機関と連携しながら適切な治療につなげていきます。

慢性肝炎

肝臓に炎症が長期間続いている状態を慢性肝炎といい、一般的に6か月以上炎症が持続している場合に診断されます。肝臓の炎症が長く続くと、肝細胞が徐々に傷つき、肝臓の線維化(肝臓が硬くなる状態)が進んでいきます。さらに進行すると肝硬変や肝がんへ進展する可能性があるため、早期発見と適切な治療が重要です。
慢性肝炎の主な原因としては、B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスによるウイルス性肝炎が代表的です。そのほかにも、脂肪肝の進行による肝炎、アルコール性肝疾患、自己免疫性肝炎、薬剤の影響などが原因となることがあります。
慢性肝炎は初期には自覚症状がほとんどないことが多く、健康診断の血液検査で肝機能異常(AST、ALTなど)を指摘されて発見されることも少なくありません。病状が進行すると、疲れやすい、食欲不振、倦怠感、上腹部の違和感などの症状が現れることがあります。さらに線維化が進み肝硬変になると、黄疸や腹水などの症状がみられることもあります。
診断では、血液検査で肝機能や炎症の程度、ウイルス感染の有無などを確認します。また、腹部超音波検査(腹部エコー)やCT、MRIなどの画像検査で肝臓の状態を評価します。必要に応じて、肝臓の組織を調べる肝生検を行うこともあります。

治療について

慢性肝炎の治療は原因によって異なります。
ウイルス性肝炎の場合には、抗ウイルス薬による治療が行われます。特にC型肝炎では、近年は直接作用型抗ウイルス薬(DAA)によって高い治療効果が期待できるようになっています。
アルコールが原因の場合には禁酒が重要となり、生活習慣の見直しや栄養管理を行います。
脂肪肝が原因の場合には、体重管理や運動習慣の改善、糖尿病や脂質異常症など生活習慣病の治療を行うことが重要です。
慢性肝炎は長期的な経過観察が必要な病気であり、定期的な血液検査や画像検査によって肝機能や病状の変化を確認していきます。

甲状腺疾患

甲状腺は、喉ぼとけの下に位置する臓器で、体の代謝を調節する甲状腺ホルモンを分泌しています。甲状腺ホルモンは、体温や心拍数、エネルギー代謝などに関わる重要なホルモンです。

この甲状腺ホルモンが過剰に分泌される状態を甲状腺機能亢進症、逆に分泌が不足する状態を甲状腺機能低下症といいます。また、甲状腺にしこり(甲状腺結節)ができることもあります。これらを総称して甲状腺疾患と呼びます。

甲状腺疾患の代表的な病気として、バセドウ病や橋本病(慢性甲状腺炎)があります。

バセドウ病は、免疫異常によって甲状腺ホルモンが過剰に分泌される病気です。主な症状として、甲状腺の腫れ、動悸、手の震え、発汗の増加、体重減少の他、眼球突出などの特有の症状がみられることもあります。また消化管にも影響することがあり、蠕動運動が活発となり、頻回の排便や下痢などの症状がみられることがあります。一方、橋本病は甲状腺に慢性的な炎症が起こり、甲状腺ホルモンの分泌が低下することがある病気です。症状としては、むくみ、肌の乾燥、声のかすれ、疲れやすさ、抑うつ気分、便秘、体重増加などがみられることがあります。

診断には、血液検査によって甲状腺ホルモンや甲状腺刺激ホルモン(TSH)を測定します。また、甲状腺超音波検査(甲状腺エコー)を行い、甲状腺の大きさや結節の有無、炎症の程度などを確認します。

治療について

バセドウ病では、甲状腺ホルモンの分泌を抑える抗甲状腺薬による治療が基本となります。薬物療法で効果が十分得られない場合や副作用がみられる場合には、放射性ヨウ素(アイソトープ)治療などが検討されることもあります。

橋本病では、甲状腺機能が正常であれば治療を行わず経過観察となることがあります。ただし、甲状腺機能低下症の症状がみられる場合には、不足している甲状腺ホルモンを補充する甲状腺ホルモン製剤による治療を行います。
治療を要する甲状腺疾患が認められた場合には内分泌内科など専門の医療機関と連携し診療を行います。

肝機能障害

肝機能障害とは、さまざまな原因によって肝細胞が傷つき、肝臓の働きに異常がみられている状態をいいます。健康診断などの血液検査で、肝機能に関係する数値の異常を指摘されて発見されることが多くあります。肝機能を評価する主な検査項目には、AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTPなどがあります。

ASTは、肝臓のほか心筋や骨格筋などにも含まれる酵素で、ALTは主に肝臓に多く存在する酵素です。肝細胞が炎症や障害を受けると、これらの酵素が血液中に漏れ出すため、数値が上昇します。
ASTやALTの上昇がみられる場合には、脂肪肝、ウイルス性肝炎、薬剤性肝障害、アルコール性肝疾患などが原因として考えられます。

一方、γ-GTPは胆道系に多く存在する酵素で、アルコール摂取の影響で上昇することがあります。また、胆石や胆管炎など胆道の病気、肝炎や肝硬変などの肝疾患でも数値が高くなることがあります。

健康診断で肝機能異常を指摘された場合には、原因を調べるために血液検査の再検査や腹部超音波検査(腹部エコー)などを行い、肝臓の状態を詳しく確認します。

ピロリ菌陽性

ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)に感染している状態であると確認された場合、ピロリ菌陽性と判定されます。ピロリ菌は多くの場合、幼少期に家族などからの食べ物の口移しなどを通じて感染すると考えられています。
胃の中は強い酸性環境のため、通常は細菌が生存しにくい場所ですが、ピロリ菌はウレアーゼという酵素を産生し、尿素を分解してアンモニアを作ることで胃酸を中和し、胃の中でも生存することができます。
ピロリ菌感染が長期間続くと、胃粘膜の防御機能が低下し、慢性胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍などを引き起こしやすくなります。また、胃がんの発症リスクを高めることも知られています。
ただし、ピロリ菌に感染していても自覚症状がないことも多く、健康診断や検査で初めて感染が見つかるケースも少なくありません。

ピロリ菌感染の有無を調べる検査としては、①尿素呼気試験(息を吐いて感染の有無を調べる検査)、②便中抗原検査(便を採取してピロリ菌の抗原を調べる検査)、③抗体測定(血液や尿中のピロリ菌抗体を調べる検査)があります。また、胃カメラ(上部消化管内視鏡)検査の際に胃粘膜の一部を採取し行う検査としては、④迅速ウレアーゼ試験(ピロリ菌が産生する酵素を利用する検査)⑤組織鏡検法(ピロリ菌を顕微鏡で探す検査)、⑥培養検査があります。さらに近年、7番目の検査法として核酸増幅法(PCR法)が登場しました。これは内視鏡検査の際に生じる廃液中にピロリ菌が含まれるかを遺伝子検査を用いて調べる検査です。1時間以内に結果が判明するほか、最も精度が高いとされる尿素呼気試験と同等の高い精度を誇ります。またピロリ菌の有無だけではなく、除菌治療の際に問題となるクラリスロマイシン耐性の判定も可能となります。
当院では核酸増幅法によるピロリ菌検査にも対応しております。

治療について

ピロリ菌陽性と診断され、除菌治療が必要と判断された場合には、胃酸の分泌を抑える薬と2種類の抗菌薬を組み合わせた除菌治療を行います。通常は1週間服用します。副作用として、下痢や発疹などがみられることがあります。
治療後は、尿素呼気試験などを行い、除菌が成功しているかを確認します。除菌が成功すると、ピロリ菌感染に関連する胃の病気や胃がんの発症リスクを低下させることが期待できます。
ただし、除菌後も胃がんのリスクが完全にゼロになるわけではないため、定期的に胃カメラによる経過観察を受けることが大切です。

便潜血陽性

便潜血検査とは、肉眼では確認することが難しい微量の血液が便の中に含まれていないかを調べる検査です。

陽性と判定された場合、大腸から出血している可能性があり、大腸の病気が隠れていることがあります。実際に、便潜血陽性の方の中には、大腸がんや大腸ポリープが見つかることもあります。

原因として考えられる病気には、大腸がんや大腸ポリープをはじめ、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)、大腸憩室症、虚血性大腸炎、痔(痔核、裂肛)などがあります。

便潜血検査で陽性判定を受けた場合には、出血の原因を調べるための精密検査が必要となります。多くの場合、大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を行い、出血の原因を確認していきます。大腸カメラではポリープや早期の大腸がんを発見することができ、必要に応じてその場でポリープを切除することも可能です。